大気汚染対策と温暖化対策のコベネフィットに向けた窒素酸化物(NOx)濃度分布の新知見ー大気リモートセンシング・地上観測網・大気環境モデリングの融合研究により実現ー

2022.03.24

目次

この記事をシェア

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする
  • はてなブックマークでシェアする

 千葉大学環境リモートセンシング研究センターの入江仁士准教授と電力中央研究所の板橋秀一主任研究員は、二酸化窒素(NO2)の大気中濃度の三次元分布を観測する独自の差分吸収分光法(DOAS法)を利用した受動型の大気リモートセンシング・地上観測網・キロメートルスケール(1.3 km)の精密な空間解像度を実現した大気環境モデリングを融合させた研究を実施し、首都圏における窒素酸化物濃度分布について新たな特徴を明らかにすることができました。
 本研究により、大気環境モデルは集中観測期間中の地上と上層(高度0-1 km)のNO2濃度の空間分布や時間変化をよく再現できることが分かりました。また、地上と上層の濃度の対応関係を見てみると、両者は強い相関関係をもっており、上層の濃度は地上の濃度の0.4-0.5倍に相当することなどが新たに分かりました。
 このような大気リモートセンシング・地上観測網・大気環境モデリングの連携による研究成果は世界的にあまり報告されておらず、新しい手法です。本研究で進展した都市域の窒素酸化物の時空間分布の理解は、今後の大気汚染対策だけでなく地球温暖化対策にも役立つと期待されます。
 本研究成果は、2022年3月7日に日本地球惑星科学連合(JpGU)の英文電子ジャーナルProgress in Earth and Planetary Science(PEPS)に掲載されました。

図(上)千葉大学西千葉キャンパス内で稼働中のリモートセンシング観測機器群の写真。4台のMAX-DOAS装置をそれぞれ異なる方位に向けた同時観測を行い、三次元のNO2濃度計測を行っている。(左下) 環境省大気汚染物質広域監視システム「そらまめくん」(AEROS)の地上観測網サイトのマップ。(右下)4台のMAX-DOAS装置が観測する視線がそれぞれ異なる色で示されている。

プレスリリース本文はこちら

次に読むのにおすすめの記事

このページのトップへ戻ります