概要
体内には、様々な異物を見分けるためのT細胞がたくさん存在します。その中で、がんを攻撃できるT細胞(がん反応性T細胞) (注1)は、がん免疫療法の効果を左右する重要な細胞です。しかし、この細胞は血液中にごくわずかしか存在せず、詳しい性質は分かっていませんでした。
谷口智憲 京都大学大学院医学研究科特定准教授、茶本健司 同教授、伊藤克弘 同博士課程学生(研究当時、現Yale大学ポスドク研究員)らと、猪爪隆史 千葉大学大学院医学研究院教授らによる共同研究グループは、血液中にわずかに存在するがん反応性T細胞を、血中で見分けるマーカーを発見しました。このマーカーをもつT細胞は、がん組織内で働くT細胞のもとになる細胞である可能性が示されました。さらに、免疫チェックポイント阻害剤(注2)によるがん免疫療法で治療効果が見られた肺がん患者さんでは、この血中のがん反応性T細胞の性質が、治療で変化することが分かりました。
本研究により、血液検査でがん免疫療法の効果を予測できる可能性が示され、患者さん一人ひとりに適した治療選択につながると期待されます。さらに、血液中からがん反応性T細胞を取り出して利用できる可能性があり、新しいがん治療法の開発につながることも期待されます。
本研究成果は、2026年2月17日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

<論文タイトルと著者>
タイトル:Phenotype of Circulating Tumor-Reactive T Cells Predicts Immune Checkpoint Inhibitor Response in Non-Small Cell Lung Cancer
循環腫瘍反応性T細胞の表現型は、非小細胞肺癌における免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を予測する
著 者:Katsuhiro Ito, Kei Iida, Tomoko Hirano, Merrin Man Long Leong, Kenji Morii, Toshi Menju, Hiroshi Date, Hiroaki Ozasa, Hironori Yoshida6 Toyohiro Hirai, Shusuke Kawashima, Kazuhiro Aoyama, Yuka Saeki, Takashi Inozume, Takashi Kobayashi, Kenji Chamoto, Tomonori Yaguchi
掲 載 誌:Nature Communications DOI:10.1038/s41467-026-69680-x








