【共同リリース】まるで連なったソーセージ?COVID-19重症化因子ORF6タンパク質による凝集体の動態観察に成功!

2023.09.26

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金沢大学大学院新学術創成研究科ナノ生命科学専攻/ナノ精密医学・理工学卓越大学院プログラム履修生の西出梧朗(博士後期課程2年)、金沢大学ナノ生命科学研究所のキイシアン・リン特任助教、安藤敏夫特任教授、千葉大学大学院薬学研究院の西田紀貴教授、金沢大学ナノ生命科学研究所/新学術創成研究機構のリチャード・ウォング教授らの共同研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)タンパク質の一つであるOpen Reading Frame 6(ORF6)が形成した、円形や線状の凝集体の動態観察に初めて成功しました。
 SARS-CoV-2は驚異的な感染力を備え、重篤な肺炎を起こすウイルスであり、その感染症COVID-19は2019年以来社会活動に甚大な影響を及ぼしています。ORF6は、SARS-CoV-2が宿主細胞へ感染後に発現し、核膜孔を介した宿主の正常な生体分子輸送を阻害するだけでなく、最も強力なインターフェロン(IFN)アンタゴニストとしてIFN経路活性化も阻害するため、COVID-19重症化因子の一つであることが分かっています。しかし、数nm(10-9 m)の小さなORF6の挙動すなわち分子動態情報が不足しているため、創薬には至っていません。
 本研究では、サイズ排除クロマトグラフィー法(SEC法)と核磁気共鳴分光測定法(NMR法)を用いて、ORF6が自己集合してオリゴマー化し、一部の領域は柔軟な構造をとることを発見しました。さらに、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて、ORF6はオリゴマーをもとに、疎水性相互作用を分子間力とした円形や線状の凝集体を形成することを観察しました。また、肺がん細胞におけるORF6の蓄積はInterleukin-6(IL-6)発現を誘導することから、COVID-19患者の肺病理やアミロイド関連の合併症発症に寄与している可能性を見いだしました。
 これらの知見は将来、COVID-19やその重症化における新たな治療法の確立に貢献することが期待されます。

 本研究成果は、2023年9 月14日(米国東部時間)に米国科学誌『The Journal of Physical Chemistry Letters』のオンライン版に掲載されました。

ORF6の凝集体

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